シュラフブランドを徹底解説!

キャンプや登山で快適に眠るための最重要アイテムの一つ、シュラフ。形や素材が様々で、1つのメーカーからも価格や使用条件が異なるたくさんの商品が発売されています。そこで、この記事では、シュラフを選ぶ時に確認するポイントを解説し、主要なシュラフメーカーについてもご紹介していきます。

シュラフの形

大きく分けて、「封筒型」と「マミー型」の2種類があります。「封筒型」は上から下まで同じ幅で作られており、扁平な筒形で体への密着度は低いです。寒さには弱いので、夏場のみのキャンプや登山では使用しないなど、使用条件は限られます。しかし、リーズナブルなタイプが多く、ゆったりしていて布団と大きく変わらない寝心地ですので、家族向けや初心者の方にはお勧めです。また、封筒型の中には、シングルサイズを連結させることで、ダブルサイズとして使用できるタイプがあります。シングルサイズを中心に揃えて、お子様が小さい間は繋げて使用し、大きくなればそれぞれがシングルを使用することもできます。

一方、マミー型は名前の通りミイラのように体に密着する形をしており、保温性が高いことが特徴です。通年のキャンプや登山など、寒い環境での使用を予定しているならマミー型を選択するとよいでしょう。畳んだ時に封筒型よりもコンパクトになるので、荷物を小さくしたい方にもお勧めです。

この他、メーカーが工夫を凝らして独自の形を提案している場合もあり、寝心地や保温性能に大きく関わってきますので、よく吟味しましょう。

中綿素材

シュラフの中綿素材には大きく分けて「ダウン」「化繊」、2種類の素材があります。化繊は耐久性が高く濡れにも強いのが特徴。洗濯が可能で手入れが簡単です。価格も安いものが多いですが、かさばるのが欠点です。ダウンは多くの空気を含み保温性が高く、ふかふか感があり寝心地が良いことが特徴。軽い上にコンパクトにまとまり収納性は高いです。欠点は濡れには弱く、価格が高めなこと。濡れに弱いといっても、最近は専用の洗剤を使用すれば洗濯できる製品も増えています。寒い季節でもキャンプをする方や、登山やツーリングといった荷物を軽くコンパクトにする必要がある場合は、ダウンシュラフを選択することになると思います。ダウンの性能を表す単位が、フィルパワー(FP)。ダウンのかさ高さを表す単位で、ダウンの反発力・復元力がわかります。同じ量のダウンの場合、フィルパワーが高いほうが大きく膨らみたくさんの空気を含むので、保温力が高くなります。600FP以上が良質とされ、700FP以上なら登山や冬場のキャンプでも問題なく使用できます。

生地の素材

生地の素材は肌触りに関わってきますので、考慮しておくとよいでしょう。表面はナイロン製ですが、裏地にはナイロン製のものと綿製のものがあります。

マミー型は表裏共にナイロン製のものが多く、封筒型は裏地に綿を使用しているものもあります。綿の方が肌ざわりは良く、また、裏地がナイロン製だと寝返りをうった時シャカシャカと意外と大きな音がしますので、気になる方は注意した方が良いかもしれません。

使用温度目安

シュラフには使用温度目安が記載されています。快適に使用できる温度や、限界使用温度が記載されている場合がありますが、ぎりぎりのスペックで選んで、いざ使用してみると予想外に寒くて眠れなかったという事態は避けるべきです。余裕をもって、記載温度+5℃程度の環境で使用すると良いでしょう。また、夏用、冬用、3シーズン用といった分け方もあります。国内のキャンプ場で、季節を選ばずキャンプをする場合は、3シーズンタイプを選ぶのが良いでしょう。

シュラフを選ぶ時に確認するポイントについて解説してきました。もし、いくつかの季節や場所での使用、車以外の移動方法を考えているなら、ダウンシュラフが候補になると思います。そこで、ダウンシュラフで有名な国内のブランド3社と、最近日本でも人気となっているNEMOの4ブランドを紹介したいと思います。

1.モンベル

引用 mont-bell公式サイト

モンベルは1975年に創業したアウトドア用品の企画製造販売を行う日本の会社です。現在は、アウトドアに限らず、環境や健康といった分野にも活動の場を広げており、多様な事業を展開しています

モンベルの商品はFunction is Beauty(機能美)とLight & Fast(軽量と迅速)をコンセプトに開発を行っており、豊富なラインナップを誇ります。そのコンセプト通り、モンベルのシュラフの特徴は、軽量でありコンパクトに収納できる点です。さらに、伸縮性があり体に快適に密着する縫製方法を採用し、保温性も抜群です。

モンベルのダウンシュラフはどのシリーズも共通でポルカテックス加工というモンベル社独自の撥水加工を施しています。従来の撥水剤をはるかに凌ぐ撥水性能を達成し、汚れも付きにくくなっています。さらに、生地表面の摩擦や洗濯による撥水機能低下を大幅に改善しています。モンベルのシュラフのもう一つの特徴は生地の伸縮性を最大限に生かす「スパイラルストレッチ」システム。体に合わせて伸縮し、多少の動きにもシュラフが合わせてくれるフィット感は他社にない強みです。モンベルのお勧めは、シームレス ダウンハガー800 #3。夏の高山から冬の低山キャンプまで一年を通して使えるトータルバランスに優れたモデルです。スパイラルストレッチシステムの上位スーパースパイラルストレッチシステムを採用し、あぐらがかけるほどの伸縮性を誇ります。さらに、特許出願中のスパイダーバッフルシステムを採用。一般的なシュラフと異なり、内部に隔壁がなく、隔壁を縫い留める縫製が不要なため、表面に針穴がほとんどありません。そのため、高い気密性を実現しています。極めて高い断熱性を持つダウンが体全体を包み込む、寝心地の良いシュラフです。

快適温度:4℃

使用下限温度:-1℃

使用時サイズ:183㎝まで対応可能

収納時サイズ:∅13×26cm 、555g

生地材質:10デニール ナイロン

中綿素材:800FP ダウン

2.NANGA

引用 NANGA公式サイト

NANGAは布団メーカーとしてスタートし、現在ではダウンやフェザーの製品を中心に、シュラフも製造販売している日本のメーカーです。NANGAの特徴は羽毛へのこだわり。使用する全ての羽毛は国内洗浄されたものしか使用しておらず、安全性と質には特別なこだわりをもっています。そして、そのこだわりの結晶とも言えるのが「永久保証」。自社工場で生産する事で製造ノウハウを積み上げ、シュラフの修理であれば基本無償(故障内容によっては有償となる可能性もあります)で受けてもらえます。さらに有償の羽毛増量も可能で、羽毛を増量した製品はボリュームに合わせた収納袋へと無償で交換してもらえます。実際に使用してみて、更に羽毛を増やしたいと思えば対応してもらえるのはありがたいです。

NANGAのお勧めは、ダウン自体に撥水加工を施し、水濡れに強いUDDシリーズ。UDD BAG 450DXは夏の高所から冬の低所登山まで、3シーズンに使えるシュラフです。撥水剤の樹脂を羽毛に分子レベルで結合させることで、微細な粒子の壁を作り、羽毛そのものに超撥水加工を施しています。湿気は通して水の侵入は防ぐことが可能なため、化繊と比べた時のダウンの弱点を克服したシュラフといえます。水濡れに強いことでシェルフカバーもいらず、ダウンならではの軽量性と収納性を、さらに活かすことができます。

快適温度:1℃

使用下限温度:-4℃

使用時サイズ:レギュラー最大長:210 × 最大肩幅80/cm(身長178cmまで)

収納時サイズ:∅14×30cm 、約825g

生地材質:15デニール ナイロン

中綿素材:770FP ダウン

3.NEMO

引用 NEMO公式サイト

NEMO Equipment,Inc(ニーモイクイップメント社) は2002年、アメリカで高度な技術とデザイン性を兼ね備えたアウトドアギアを提供することを目的として設立された会社です。NEMOのシュラフの特徴は、従来のマミー型の他に、独自に開発したスプーンシェイプ型を加えたラインナップを揃えていることです。スプーンシェイプとは、寝返りをうつ動きをしてもその動きの妨げにならないよう、また横向きの姿勢で眠っても、圧迫感や不安定感を感じないように、胸や腕まわりと膝まわりに余裕を持たせたるなど、横向き寝でも快適に寝られる形状のことです。スプーンシェイプ型のシュラフには、肌が触れる裏地には柔らかで汚れがつきにくい耐久撥水加工されたタフタ生地が採用されています。さらに、暑い時は外に出し、寒い時は首周りに巻きつける「ブランケットフォールド」、邪魔にならない位置に小物を収納できる「スタッシュポケット」、着替えなどを収納することで、柔らかく膨らませれば枕としても機能する「ピローポケット」、ジッパーの内側にドラフトチューブを配し冷気の侵入を防ぐ機構など、快適に眠るための様々な機能が装備されています。また、NEMOのサービスとして嬉しいのが、シュラフのウェブサイトに、5つの質問に答えるとお勧めのモデルがわかるコーナーがあること。自分の体格や使用環境におけるシュラフ選択の参考になりますので、是非利用してみてください。NEMOの製品でご紹介するのはDISCO30。撥水加工済みダウンと最先端の軽量素材、横向きでも眠りやすいスプーンシェイプを組み合わせた、低山登山から秋のキャンプまでシーンや季節を問わずオールラウンドに活躍するモデルです。頭の先やつま先など、眠っている間に結露したテントに触れる可能性が高い部分には厚手の防水透湿性生地を採用。撥水加工してあるダウンとの組み合わせで濡れへの対策は万全です。体の形に沿わせた縦型ボックス構造とメッシュ素材の隔壁を組み合わせ、体の中から発生する熱エネルギーを冷えやすい足先方向に伝えることで、シュラフ内を暖かく保ちます。眠りやすいシュラフの形に加えて、濡れ/湿気への対策に温度の調節力、心地よい肌触りなど細部に渡って快適性を追求した機能を装備しています。

快適温度:-

使用下限温度:-1℃

使用時サイズ:183㎝まで対応可能

収納時サイズ:∅19×28cm 、875g

生地材質:30デニール ナイロン

中綿素材:650FP ダウン

4.イスカ

引用 イスカ公式サイト

イスカは、昭和54年に設立された、大阪府にある日本のシュラフメーカーです。シュラフ専門のメーカーなだけあって、夏向きのカジュアルなモデルから厳冬期や極地にも耐える高性能モデルまで幅広いラインナップが魅力です。

全モデルに伸縮性のあるゴム製のコードを標準装備しており、出入りがしやすく、暑い時の温度調節も簡単で、緊急時も簡単に脱出できるようになっています。イスカのシュラフの特徴は、「3D構造」。イスカのマミー型シュラフ全モデルの基本となっており、足元の羽毛を多めにするなどエリア毎のダウン量を調節。さらに、暖かい空気が体を立体的に包み込むように、背面が小さく、胸側にゆとりをもたせるなどして無駄な空間を作らず熱が逃げないように計算されています。イスカも使用中の寝心地の検証に力を入れています。シュラフの標準的なガイドライン「EN-13537」は、静置した状態でのテストのため、実際の使用感とは異なる可能性があります。そこで、人為的な積雪を準備した人工気象室内で、テスターに温度センサーやサーマルイメージャーを使用した客観的な測定と、ヒアリングによる体感的な情報収集を行い、快適な眠りを追及しています。

紹介するイスカの商品は、エアドライト 480。同社の製品の中でも特に撥水性能が高く、春から秋のキャンプはもちろん、冬の低山にも対応可能な、スリーシーズンモデルです。胸部の両サイドに縦ボックスを追加することで、シュラフ内でダウンが移動することを防ぎ、上半身の保温性能を高めています。サイドジッパーの裏側にダウンの入ったチューブを配置することで、ジッパー部分から外の冷たい空気の侵入を防ぎます。立体構造と合わせて、外部環境に関わらず、暖かな眠りを約束してくれるシュラフです。

快適温度:-

使用下限温度:-6℃

使用時サイズ:最大長:213 × 最大肩幅78/cm

収納時サイズ:∅16×32cm 、870g

生地材質:ナイロン

中綿素材:750FP ダウン

まとめ

各ブランドのシュラフを比較してきましたが、いかがでしたでしょうか?それぞれのブランドがこだわりを持ち、独自の技術やサービスを展開していることがお判りいただけたと思います。シュラフはキャンプでもテント泊登山でも必須のアイテムです。しかし、それだけに様々なメーカーが工夫を凝らして多くの製品を販売しているため、選ぶのが難しいアイテムです。今回の記事を皆様の最適なシュラフ選びの参考にしていただけると幸いです。

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