美しい紅葉や澄んだ空気の中で見上げる星空は、夏では体験できない秋冬キャンプの大きな魅力です。火を使っても暑くならず、虫もこないうえ、レジャーシーズンに比べて人も少ない環境は、キャンパーにとってベストシーズンと答える人も少なくありません。
そんな秋冬キャンプで最も重要になるのが寒さ対策。今回は寒さ対策の強い味方、二次燃焼タイプの薪ストーブをご紹介します。
二次燃焼薪ストーブとは
ストーブで薪を燃やすと炎が燃え上がり、煙が発生します。この煙の中には煤やタールといった燃え残りも含まれていますが、最もシンプルな構造の薪ストーブ(一次燃焼タイプ)
はこの煙を煙突から排出します。二次燃焼とは、この煙に高温の空気(酸素)を送り、さらに燃焼させることをいいます。薪ストーブの説明では、「クリーンバーン燃焼」と表現されることもあります。比較的シンプルな構造で扱いやすく、壊れにくいため、世界中の屋内薪ストーブで採用されている燃焼法です。
二次燃焼薪ストーブのメリット
二次燃焼タイプの薪ストーブを選べば、煙が少なく燃焼効率もアップします。これは一次燃焼タイプに比べて高火力を得られるということですが、煙突などの汚れを減らすことができるというメリットもあります。薪ストーブは煙突内に煤などの汚れが付着しますので、使用するたび、内部につまりがないかを確認し、掃除をする必要があります。メンテナンスを怠れば、薪ストーブ本来の働きができないばかりか、テント内で使用している場合は煙突から煙が排出されず、一酸化炭素中毒の原因になる可能性もあります。そのため、メンテナンスの負担を減らす二次燃焼タイプの煙の少なさは大きなメリットと言えます。また、一次燃焼ストーブは煙突から出る火の粉対策が必要になりますが、二次燃焼ストーブは小さな欠片も燃やしてしまうため、火の粉が出にくくなっています。火の粉はテントに穴が開いたり、最悪な場合は火事の原因になったりもしますので、こちらも大きなメリットです。※煙突が汚れている場合や、紙等をたくさん燃やすと二次燃焼ストーブでも火の粉は出ますので、正しく使用し、細心の注意を払いましょう。
おすすめの二次燃焼薪ストーブ4選
屋内用とは異なり、アウトドア用では一次燃焼タイプと比較すると大きく重く、価格も高くなる傾向があるため、採用は少ないのが現状です。しかし、上述の通り二次燃焼タイプはアウトドアでもメリットのある燃焼法です。ここでは、そんな二次燃焼タイプの薪ストーブをご紹介しますので、参考になさってください。
BLISS-SP
株式会社 寿産業が展開するアウトドア用コンパクト薪ストーブブランドFIREGRAPHIXが、鎌倉の老舗薪ストーブメーカー「ノーザンライトエナジー」と組んで発売した薪ストーブです。前面と後部にあるレバーで送り込む空気を調節することができ、効率的に薪を燃焼させることができます。後部通気口から入った空気が上部のダクト側を通り、前面ガラスに下りてきて、ガラス窓が曇らなくなるというガラスクリーンシステムを搭載しており、薪の燃える様子をいつまでもきれいに見ることができます。
本体サイズ:縦318.5mm×横419mm×奥行512mm
適用煙突サイズ径:Φ106
材質:鉄1.2mm
重量:17Kg
投入可能な薪サイズ:350mm
Locomoアウトドア薪ストーブ/WIDE
京都宇治炭山という山間部にあるアウトドアメーカーMt.SUMI(マウント・スミ)が製造している薪ストーブです。正面と側面2か所の大きなガラスが最大の特徴の薪ストーブです。薪の燃える様子をあらゆる角度から存分にお楽しみいただけます。天板が広く、鍋やフライパンだけでなく、ケトルも置くことができます。炉内も広いため、オプションのゴトクをセットし熾火にすれば、小型(19cm程度)のダッチオーブンを入れたり、ピザを焼いたりすることも可能です。さらに、別売りのウォータータンクを側面に設置し、お湯を沸かすこともできますので、非常に調理しやすい製品になっています。
※下記スペックは2020年モデルの使用になります。2021年モデルは若干の変更がある可能性があります。2021年モデルの予約販売は9月末を予定しており、予告なく予定が変更される場合がございます。
本体サイズ(煙突含まず):縦44.5㎝×横52cm×奥行36cm
適用煙突サイズ径:80mm
材質:本体・灰トレイ/鉄 煙突/ステンレススチール
重量:21Kg
投入可能な薪サイズ:45cm以下
work tuff stove 380
台湾のナイフメーカWorkTuffGear社と株式会社Ablazeで共同開発した薪ストーブです。work tuff stove 380はフロントと片方サイドに大きなガラス面を備え、薪が燃える様子を楽しむことができます。採用しているガラスは急激な温度変化にも強いタイプで、天板での調理中に吹きこぼれてしまっても割れにくく、安心してご利用いただけます。屋外での使用は錆びにも気を使いますが、素材はステンレスを使用しておりますので、腐食しづらく耐久性が高いストーブと言えます。本体のステンレスはぎりぎりの厚さを採用し、耐久性と軽さを両立しています。
本体サイズ:縦216cm×横26cm×奥行44.5cm
適用煙突サイズ径:7.62cm
材質:本体/ステンレススチール
重量:8.5Kg
<h3>俺のかまど MK6K<h3>
鍛冶屋の4代目が創業したモキ製作所が製造しているユニークな薪ストーブです。プラモデルのように組み立てる方式で、コンパクトに収納して持ち運ぶことが可能です。オプションとして初めから羽釜がついているのが特徴で、キャンプをしながら昔ながらのお釜で美味しいごはんが炊けます。天板を外せば焼き鳥などの串物を焼くことができますし、網を置けばバーベキューも可能で、様々な焼き料理も楽しめます。本底には遮熱板があり、下方向に熱を逃さず、過度でなければウッドデッキやテーブルの上でも燃焼が可能です。今回紹介した中では最も軽量で、持ち運びやすいストーブです。
本体サイズ:縦27cm×横19cm×奥行33cm
適用煙突サイズ径:10cm
材質:本体/鋼板 羽釜/アルミ、木
重量:6.6Kg
薪ストーブを使う時の注意点
最後に、薪ストーブを使う時の注意点をお伝えします。
薪ストーブの下に不燃素材を置く
薪ストーブが活躍する秋冬のアウトドアでは、落ち葉などが地面を覆っている場合があります。火の粉はもちろん、地面との距離が近いタイプでは、高温による発火も十分に注意する必要があります。芝生であってもダメージを与える可能性があるため、地面の状況やストーブの構造によっては燃えやすい落ち葉などを取り除き、レンガや不燃素材の板などを置くようにしましょう。
強風の際は使用しない
薪ストーブ内の炎自体は風の影響を受けづらいため、強風でも安全な気がするかもしれませんが、万が一煙突が倒れると大惨事です。強風の際は薪ストーブを使用しないようにしましょう。
<h3>テント内で使用する場合は一酸化炭素中毒に細心の注意を払う<h3>
上述したように、煙突のメンテナンスをしっかりと行いましょう。また、煙突用の穴が設けられ、難燃性素材で製造されている薪ストーブが導入できるテントを使うのが安心・安全です。さらに万が一の時のために、一酸化炭素中毒チェッカーを設置することが望ましいです。
まとめ
いかがだったでしょうか。薪ストーブはその熱で暖かさを保ち、料理にも使える重宝な道具ですが、テントの中に燃える薪を持ち込むことができるのが他の道具にはない大きな魅力です。焚き火はキャンプの醍醐味です。寒い季節も薪ストーブを使い、体も心も暖かな素敵なキャンプを楽しんでください。
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